店舗兼用住宅・店舗併用住宅の違いと活用方法|住みながら収益を生む住まい造りとは?

2025.05.21

はじめに

近年、住宅の新たな価値として「住みながら収益を得る」スタイルに注目が集まっています。その代表格が、1階にテナント(店舗・事務所)を設け、2階以上に住む「店舗兼用住宅」や「店舗併用住宅」と呼ばれる建築スタイルです。

本記事では、これらの違いや活用方法、法的制約、住宅ローンの注意点、そして一般住宅を店舗に改装する際のポイントまで、幅広く解説していきます。

 

 

住居と店舗のハイブリッド建築:主な種類

名称

概要

主な用途割合

法的な制約

主なメリット

主なデメリット

店舗併用住宅

住居が主で、一部が店舗

住居部分 > 店舗部分

一般的に「住宅」として扱われる。住宅ローン対象になる可能性大

住宅ローンが使いやすく、住宅扱いの税制優遇を受けられる

店舗部分が小規模になりやすい/集客に限界

店舗兼用住宅

店舗が主で、住居が付属

店舗部分 > 住居部分

「店舗(非住宅)」扱いになる可能性。事業ローンや投資ローンが必要な場合も

集客・テナント活用に有利。事業用としての自由度が高い

ローン審査が厳しい。固定資産税が高くなる場合あり

複合用途建築物(テナント併設型)

多数テナント+住居(マンション型)

用途混在(事業+住居)

建築基準法・用途地域・防火規制など多数の制限あり

賃貸収益を最大化できる/将来的な売却価値も期待

管理コストが高い/居住性が下がるリスク

 

店舗併用・店舗兼用住宅のローンはどうなる?

原則として「住居部分が50%以上」であれば住宅ローンの利用が可能です。

ただし金融機関によっては審査基準が異なるため、事前相談が重要です。

店舗部分が大きい場合は、「事業用ローン」や「アパートローン」「不動産投資ローン」などの選択肢も検討されます。

 

融資タイプ別の比較:住宅ローン vs 事業ローンほか

融資種類

主な用途

金利(目安)

融資期間(最長)

頭金の要否

特徴・注意点

住宅ローン

自宅(住居主体の併用住宅含む)

年0.5〜1.5%

最大35年

原則不要(物件価格の80〜100%融資)

店舗部分が50%未満なら対象になる可能性あり。審査緩やか。

事業用ローン

店舗主体の建物・商業施設

年1.5〜3.5%

最大15〜25年

必要(2〜3割)

売上見込みなど事業計画の提出が必要。融資難度はやや高め。

アパートローン

収益物件(賃貸マンション等)

年1.5〜3.0%

最大30年

必要(2〜3割)

テナント併設型で使われる。家賃収入見込みが審査対象。

不動産投資ローン

賃貸運用・転売目的物件

年2.0〜4.5%

最大30年

必要(2〜4割)

利回り・資産性重視。個人より法人名義で組まれるケース多い。

 

一般住宅を店舗に改装することは出来る?

どうせ家を建て替えたりリフォームするなら、「1階をおしゃれなカフェやパン屋さんにして、2階は自宅に」──そんなふうに、趣味と実益を兼ねた暮らしを実現したいと考える方も増えています。

最近では、奥様の得意なハンドメイドや料理を活かしたサロンやベーカリー、自宅カフェのような形で副業収入を目指す動きも見られます。

ここでは、そうした“住まい+店舗”の改装を検討する際に押さえておきたい手続きや注意点をまとめました。

 

1. 用途地域の確認

  • 市街化区域であれば「第一種住居地域」「商業地域」などによって店舗の規模や種類に制限があります。
  • 第一種低層住居専用地域では飲食店・物販店舗などは原則不可(例外あり)。

 

2. 建築基準法・用途変更の届出

  • 改装によって用途が「住宅」から「店舗」に変わる場合、行政への用途変更申請が必要になることがあります。
  • 延べ面積の1/10以上を変更する場合は確認申請が必要になる可能性あり。

3. 衛生・消防関連の届出

  • 飲食業、理美容業、エステなどの場合、保健所の許可が必要。
  • 消防法による防火設備設置義務などが発生するケースもあります。

4. その他(近隣配慮・騒音対策など)

  • 店舗の種類によっては近隣住民とのトラブルリスクがあるため、配慮設計や告知が重要。

 

改装はリフォーム?新築? 店舗付き住宅化の2つのアプローチ

住まいの一部を店舗にする方法には、大きく分けて以下の2つのアプローチがあります:

 

1. 新築時から店舗付きで設計する

  • 最も自由度が高く、店舗の動線や設備(水回り・厨房・換気・客席など)を最適化できます。
  • 建築確認申請時に用途を「併用住宅」や「兼用建物」として明記し、行政に用途を届け出る必要があります。
  • 費用は割高になりがちですが、はじめから事業として収益化を考えている方に最適です。

 

2. 既存住宅をリフォーム・リノベーションする

コストを抑えつつ、自宅の一部を活用する方法です。

ただし、以下の点に注意が必要です。

  • キッチンやトイレなどの水回りの増設には給排水・ガス・電気系統の大幅な工事が必要。
  • 飲食店や理美容店などの用途によっては、建築基準法上の用途変更手続きが求められる。
  • 設備基準や消防法、保健所の許可も必要となる場合があります。

 

店舗の種類や規模によっては、リフォームでは対応が難しく構造的な制約に直面することも。建築士やリフォーム会社とよく相談し、事業計画と照らし合わせながら判断するのがおすすめです。

 

3.リフォーム・リノベ時の注意点と業種別の具体例

キッチンやトイレなどの水回りの増設には、給排水・ガス・電気系統の大幅な工事が必要です。
さらに、併設する店舗の業種によって求められる設備要件や法的基準も異なります。

以下に代表的な業種ごとの例を紹介します。

飲食店の場合(カフェ・パン屋・テイクアウト専門など)

 

  • 厨房設備の設置(業務用コンロ・シンク・換気フードなど)

  • グリストラップの導入(油脂分を排水から除去する設備)

  • 給排水管の増設(洗い場・製造スペース・手洗い用など)

  • ガス容量・換気設備の強化

  • 保健所の営業許可・食品衛生管理責任者の配置が必要

  • 用途変更(住宅 → 飲食店を含む用途)+防火基準の確認

 

飲食の場合まとめ

飲食店の場合(カフェ・パン屋・テイクアウト専門など)では、住宅のリフォーム・リノベーションに比べて以上のような設備強化と法的手続きが必要になります。まず、業務用コンロやシンク、排気用換気フードといった厨房設備の導入に伴い、給排水管の分岐・増設やガス容量のアップ、強力な換気設備の設置が必須です。また、排水中の油脂分を除去するグリストラップの設置も忘れてはなりません。加えて、営業を開始する前には保健所への営業許可申請および食品衛生管理責任者の配置が求められ、用途変更手続き(住宅から飲食店への用途変更)や防火基準の適合確認も併せて行う必要があります。これらを総合的に計画することで、安全かつスムーズに飲食店営業をスタートできます。

 

理美容業の場合(美容室・理容室・エステなど)

 

  • シャンプー台・給湯器の増設

  • 専用洗面台や鏡・電源の確保

  • 薬剤保管・洗髪・洗濯用スペースの整備

  • 保健所の開設届・美容所/理容所の登録

  • ドライヤー・アイロン使用に伴う電力容量の増強

  • 内装の耐水・防滑対策(床・壁材)

 

理美容の場合まとめ

理美容業の場合(美容室・理容室・エステなど)では、住宅のリフォーム・リノベーションに比べて以上のような設備強化と法的手続きが必要になります。まず、シャンプー台の増設に伴い給湯器の容量アップと給排水管の分岐・増設工事が求められます。加えて、専用洗面台や鏡の設置、それらを安全に稼働させるための十分な電源確保も必須です。薬剤保管スペースや洗髪後のタオル・ユニフォーム洗濯用の専用スペースを設けるほか、保健所への開設届提出および美容所・理容所としての登録手続きを忘れてはいけません。さらに、ドライヤーやアイロン使用による電力負荷に備え、電力容量の増強工事を行い、内装には耐水性・防滑性を備えた床材・壁材を採用して、安全で清潔なサロン環境を実現しましょう。

その他業種(物販・雑貨・ネイル・整体・教室など)

 

  • 手洗い場や簡易シンクの設置(衛生管理目的)

  • トイレの共有・分離問題(来客用/自宅用)

  • 収納・展示棚・什器の配置に伴う電源配線の工夫

  • 防音・遮音対策(整体や教室の場合)

  • バリアフリー基準の確認(高齢者向け事業など)

その他業種の場合まとめ

その他業種(物販・雑貨・ネイル・整体・教室など)では、まず衛生管理のために手洗い場や簡易シンクを設置し、来客用と自宅用のトイレを共有・分離する計画を立てる必要があります。商品展示や什器配置に伴い、照明やレジ機器用の電源配線を適切に確保するとともに、ネイルサロンや整体・教室では施術や授業の音漏れを防ぐ防音・遮音対策を講じます。さらに、高齢者向けの教室や整体院を想定する場合はバリアフリー基準(段差解消、手すり設置など)を満たしてお客様の安全を確保しましょう。これらを一括で計画し、電気・給排水・内装工事のタイミングを整えることで、各業種に応じた快適かつ法令遵守の店舗運営が可能になります。

必要な設備や法的な条件は、自治体や建物の構造によって異なるため、リフォーム前に行政・専門業者への相談が必須です。

 

まとめ

住まいと店舗を一体化する建築は、資産形成やライフスタイルの自由度を高める大きな可能性を秘めています。ただし、法的制約やローンの条件には注意が必要です。

自宅で店舗経営をしたい方、副業やテナント収入を得たい方にとって、こうした選択肢は今後さらに広がっていくでしょう。

行政手続きやローンの相談については、地域の専門家(設計士・工務店・金融機関)への早期相談をおすすめします。

 

 

 

大阪・兵庫・京都・奈良・和歌山で注文住宅をお考えならイエタッタへ

イエタッタでは、理想の住まいに関する無料相談を行っております。

大阪・兵庫・京都・奈良・和歌山で注文住宅の建築をお考えの方は、ぜひイエタッタへご相談ください。

大阪府の注文住宅を建てるなら | イエタッタ®住宅相談窓口

 

 

関連リンク

 

・大阪の施工事例はこちら

 

・兵庫の施工事例はこちら

 

・京都の施工事例はこちら

 

・奈良の施工事例はこちら

 

・和歌山の施工事例はこちら

カテゴリー一覧