リフォーム vs 建て替え 究極の選択【実録・家づくり物語 Vol.1】賃貸脱出を夢見た私に舞い込んだ「築40年の実家」という選択肢

2025.11.05

賃貸のジレンマと「家が欲しい」という動機

家賃を払い続けることに、虚しさを感じている方は多いのではないでしょうか。私もその一人でした。毎月約10万円が賃貸物件のオーナーに渡り、「このお金が将来、自分の資産にならないのは何とも虚しい…」と、家計簿を見るたびにため息をついていました。

単純計算で年間120万円。数十年のローンと仮定すれば、数千万円が手元に残らない。この「賃貸のジレンマ」から抜け出し、いつか「自分の家」を持ちたい、というのが、私たち家族の切なる願いでした。

そんなとき、人生の計画を大きく変える思いがけない提案が舞い込んできます。両親から「実家が空くことになるから、住まないか?」という話があったのです。

経済的な魅力に飛びついたものの、待ち受けていたのは「築40年の家の現実」という大きな壁。今回の実録家づくり物語では、その古い実家を前に、リフォームから新築へと検討がシフトしていった、初動の葛藤と経緯を正直にお伝えします。

 

経済的な魅力と、見過ごせない「築40年の現実」

1. 提案の魅力と初期の検討

実家への引っ越しは、経済的なメリットが非常に大きいものでした。

毎月10万円の家賃負担がゼロになるということは、年間120万円、10年で1,200万円の貯蓄が可能になることを意味します。この金額は、子どもの教育費や老後の資金、またはリフォーム費用に充てられるわけですから、すぐに真剣に検討を始めました。

当初の甘い見通しでは、「水回りだけ少し手直しすれば、十分に快適に住めるだろう」と考えていました。なにせ、家賃が浮くのですから、多少の出費は許容範囲だろうと楽観視していました。

 

2. 目の前の「築40年の壁」

しかし、実際に実家に足を踏み入れ、住むことを想定して隅々までチェックすると、数々の「築40年の壁」が立ちはだかりました。

  • 断熱性の低さ: 夏場は日中の熱がこもり、夜になってもムシムシ。冬は底冷えがひどく、リビングから廊下に出ると寒暖差で体が驚くのが目に見えていました。
  • 間取りの不便さ: 昔ながらの「細切れの和室」が多く、家族が集まる広いLDKがない。現代の生活スタイルには合わない間取りでした。
  • 設備の老朽化: キッチン、風呂、トイレといった水回りはすべて旧式で、カビや水漏れのリスク、非効率な給湯システムなど、もはや交換が必須でした。
  • 地震への不安: 築年数が古い家は、現在の耐震基準を満たしていない可能性が高く、大きな地震が来た際の不安が拭えませんでした。

このままでは住めない。「何かしらの大規模な改修が必要だ」という結論に至るのは、ごく自然な流れでした。

 

リフォーム検討の迷走と「大手メーカーの壁」

1. リフォーム会社への見積もり依頼を開始

経済的メリットを活かすため、最初の選択肢は「リフォーム」でした。まずは予算を抑えつつ、老朽化した部分を刷新したいと考え、複数の業者に見積もりを依頼しました。

依頼先は、信頼できそうな大手ハウスメーカー数社と、地元の実績あるリフォーム専門業者を候補としました。

 

2. 大手ハウスメーカーとのミスマッチ

ここで、最初の大きな壁にぶつかります。

大手ハウスメーカーに問い合わせたのですが、とにかく対応が遅い。メールの返信に数日かかり、現地調査の日程調整もスムーズに進みません。そして、ようやく届いた最初の概算見積もりは、私たちの想定を大幅に超える金額でした。

さらに驚いたのは、一部の有名なハウスメーカーに至っては、見積もり依頼の申し込みをしたにもかかわらず、最終的な返信すら来ないという現実でした。おそらく、築古の小規模リフォームは、大手にとっては優先度が低かったのでしょう。この経験から、「リフォームは、スピード感と専門性が高い地元業者に依頼すべきなのかもしれない」と学ぶことになりました。

 

リフォームの限界と「建て替え」へのシフト

1. 「間取りの自由度」に直面したリフォームの限界

複数のリフォーム業者と打ち合わせを進める中で、私たちは理想とする「現代的な間取り」の実現を強く求めました。特に、「柱を抜いてLDKを大空間化したい」「対面キッチンにしたい」という要望です。

ここで指摘されたのが、リフォームの技術的な限界でした。構造上抜けない柱がある、配管の都合で水回りの移動に制限があるなど、「間取りを自由に変える」ことの難しさに直面します。

業者からの提案は、壁や天井をすべて剥がして構造躯体だけにする**「フルスケルトン」のリノベーション**が必要だというものでした。

2. 高額なリノベーション費用と「お得度」の疑問

フルスケルトンのリノベーションは、ほぼ新築に近い工事です。その見積もり額は、目を疑う2,000万円以上という高額に達しました。

ここで、私たちの「損得勘定」が激しく動き出します。

「築40年の古い骨組みと基礎だけを残すために2,000万円以上かけるなら、いっそ更地にして、最新の耐震・断熱性能を備えた新築を建てた方が、トータルで見てお得なのでは?

この一つの疑問が、リフォームを検討していた私たちのベクトルを、完全に「新築」へとシフトさせる決定的なきっかけとなりました。

 

まとめ Vol.2に続く

経済的な理由からスタートした「築40年の実家への引っ越し計画」は、リフォームでは収まらず、ついに「新築」という究極の選択肢を検討する段階に入りました。

次回は、リフォームと新築の費用対効果を徹底的に比較するため、「新築」の具体的な調査を開始します。果たして、築古の実家を壊して新築することは、本当にリフォームよりもお得なのでしょうか?

続編にご期待ください。

 

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いえたった関西編集部
本記事は、いえたった関西編集部が執筆・監修しています。
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